ジュリエットに愛の花束を。


でも。

だったら、プリンをあたしに渡す目的はなに?


っていうか。

もうプリンで悩みたくない。


マニキュアのきつい匂いが思考を停止させる。


「お昼、コロッケパンにしようかなー。

迷惑だよね、早弁するなら匂いのないモノのしろっつぅの。まだ三時間目なのにぃ。

完全に食欲が呼び覚まされちゃったし」


皐のお腹の音を聞きながら、めげずに講義しているおじいちゃん先生を眺める。


お昼になる前に、プリン地獄からの抜け出し方を教えてくれないかなーなんてくだらない事を思いながら。



だけど、そんなあたしの心配は、お昼休み直前に消えた。

というのも、松永が急な腹痛で帰って行ったからなんだけど。

皐と「プリンが原因なんじゃ……?」なんて話して二人して黙り込んだ後、笑った。



だけど。

昼休み、松永のプリンの代わりにあたしを待っていたのは……、もっと、大変な事だった。




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