ジュリエットに愛の花束を。
「……別に、誤魔化したいならいつまでもそうしてろよ。瑞希が素直になる方法、俺、知ってるし」
「え……あっ、や、だっ……樹っ」
服の中に入り込んできた手に気付いて、慌てて抵抗する。
だけど、あたしの抵抗なんて気にも留めてない樹に気付いて……ごくりと喉が鳴る。
こんな樹、知らない。
樹はいつでもどこか冷静だったし、あたしが言いすぎた悪口だって笑って許してくれる優しい人なのに……。
今、目の前にいる樹は……。
肩にかかる髪を片手でよけて、さらけ出した首筋を唇で辿る樹に、戸惑う事しかできない。
「瑞希……」
「やっ……ぁ、樹っ、も、やめ…て……っ」
「じゃあ、言えよ。……何があったのか。瑞希がここしばらくおかしかった事、俺が気付いてないとでも思ってた?
俺に……、何隠してんだよ」
「……っ、」
「瑞希は素直じゃないだけで、隠し事なんかしねぇのに。それなのに何か隠されてんのって気持ち悪ぃ。
昨日から、はぐらかしてばっかだろ。
『なんでもない』なんて嘘、俺につくなよ」