ジュリエットに愛の花束を。


大体、『素直になる方法知ってるし』とか、バカじゃないの?

えっちして素直になるのは、その時の反応だけであって、なんでもかんでもペラペラ話す女になるわけじゃないのに!


「……このままでいるのと、絆創膏貼るの、どっちが目立たないと思う?」

「絆創膏貼ってもさー、結局首筋だと『あ、キスマーク隠し』ってバレバレだからねー。

でも、むき出しにしとくよりはいいんじゃない? 

あ、林檎うさぎの絆創膏あげよっか」

「余計目立たせてどうすんの? いいよ、普通の持ってるし」


皐が取り出した、ピンク色の絆創膏。

そこには確かに可愛い林檎うさぎが描かれていて魅力的だけど。


「えー、林檎うさぎの絆創膏にはおまじないかかってるのにー。『早く治る』って」

「……でも、別に怪我じゃないし。早く治したいわけでも……ない、し」


変に途切れながら言うと、皐に「瑞希、可愛いー」なんて笑われる。


絆創膏を貼ってから、樹のつけた跡が隠れたのを鏡で確認した。


いつもなら、こんな場所にはつけないのに。

いつもどこか冷静な樹が、あんな事するって事は。

こんな跡を残すって事は……。


何か、理由があるんだ。


< 129 / 355 >

この作品をシェア

pagetop