ジュリエットに愛の花束を。
『俺に……、何隠してんだよ』
樹の掠れた声が頭の中に響く。
あんな思いつめたような声……、初めて聞いた。
何かを怖がってるような、不安がってるような……、そんな声。
樹の声が、行為が、瞳が……樹の中にある不安を表しているような気がした。
でも……、なにが原因?
その疑問を追っていくと、自分の行動がその答えの気がして。
唇をきゅっとかみ締めながら、よく考えてみる。
昨日から、あたしの様子がおかしいことに気づいてた樹。
それを、適当に誤魔化そうとしてたあたし。
その2つだけで、十分に樹の不安要素になりえる気がした。
あたしの様子がおかしい事に気付いて、でも、聞いたって素直に言ったりしないあたしに、樹はあたしから言い出すのを待ってたのかもしれない。
それを、演技力に自信があるわけでもないあたしが誤魔化そうとしたりしたから……。
樹の不安だとか不満が行動になったんだ。