ジュリエットに愛の花束を。


愛らしい離れた目のうさぎのキーホルダーを、呆れながら眺める。

林檎がないと、やっぱりただのうさぎにしか見えないけど。

ただのうさぎのキーホルダーなら、その辺で売ってそうだけど。


それでも「林檎うさぎ」のネームバリューに、それなりの価値を感じちゃうのは、あたしがミーハーだからなのかな。


「はい、あげる」


ぽいっと、あたしの手の中に林檎うさぎを放り投げた皐に、驚愕の眼差しを送る。


「あげるって……、これ、激レアなんでしょ?! 

せっかく取れたのに、そんな簡単にあたしになんかくれちゃダメでしょ」

「激レアらしいって話なだけで、あたしは興味ないもん。

そういうおまじないみたいのってまるっきり信じてないから別にいらない。

そんなん持ち歩いて願掛けするくらいなら、少しでも可愛くきれいになれるメイク術を勉強して、自分の力でイケメンゲットするし」

「……最終的にはイケメンなんだ」


「当たり前じゃん」と、「他になにがあるの?」くらいなニュアンスで言う皐に、苦笑いを浮かべる。


< 151 / 355 >

この作品をシェア

pagetop