ジュリエットに愛の花束を。
【第六章】
情けない自分
「瑞希? 帰ってるのか?」
午後の講義をすっぽかして部屋にこもっていたあたしを、お兄ちゃんが呼ぶ。
答える気にもならなくて無視していると、階段をあがってきたお兄ちゃんがドアをノックして中に入ってきた。
「瑞希?」
「……」
ちょうどベッドにうつぶせになってるし、寝たフリを通そうとしたのに。
ズカズカと近寄ってきたお兄ちゃんは、あたしを無理やり起こして顔を見る。
「……なに」
「おまえ、何かあったろ」
「なんにもない。……眠いから出てって」
そう言っても、お兄ちゃんはあたしの腕を離そうとしない。
面倒になってため息をつくと、あたしをじっと見つめたままのお兄ちゃんが眉をひそめた。