ジュリエットに愛の花束を。


心配そうに表情を歪めるお兄ちゃんにそう言って黙ると、お兄ちゃんは何も言わずに出て行った。


……傷つけたのかな。

でも、お兄ちゃんだっていつまでもあたしのおもりしてたんじゃ、可哀想だし。

里香さんも可哀想だもん。


だからここは、心を鬼にして。

お互いに距離を開けなくちゃダメなんだ。

今までが近すぎたんだから。


……あんまり迷惑かけて後々文句言われるのも嫌だしな。


適当に付き合った彼氏が別れてくれなかった時とか、事情を知ったお兄ちゃんと彼氏が殴り合いになったし。

その後かなり怒られて、挙げ句、門限20時とかありえない時間を指定されたし。

たまに、夜、出窓から屋根だとか塀を渡って抜け出したりして。

それをお兄ちゃん気付かれて、町内で鬼ごっこになったっけ。


懐かしいな。


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