ジュリエットに愛の花束を。
料理も上手で、無駄遣いもしなくて、子育てと家事をうまく両立できてるって、お兄ちゃんがいつも自慢気に話してたし。
もう、デレッデレになって話してたし。
正直うっとうしかったし。
なのに……、なんで?
「お父さんもお母さんも、元気だよ。
……あんまり会わないからよく知らないけど」
「……二人の事は心配してないよ。大人だし、心配するような歳でもないだろ」
「……あたしも元気ですけど。お兄ちゃんのおかげでいつも以上に口が回ってるけど」
「それも知ってる」
「じゃあ、なんで……、」
「瑞希。これからは俺の許可なしに、勝手にあいつを家に上げるなよ」
それだけ言って、お兄ちゃんは自分の部屋に戻る。
お兄ちゃんが結婚して出て行った後も、どうこうするのも面倒で放ってあった部屋。
そこに、お兄ちゃんは一体どれだけ居座るつもりだろう。