ジュリエットに愛の花束を。
ハンドルを握りながら言うアリサさんの横顔を見ると、決してからかってるようには見えなかったから、あたしも本音で答える。
仮にもライバルなんだから、こんな心の内を見せてる場合でもないんだけど。
なんか……アリサさんは、あたしにとっては裏がない人だから隠す気にもならなかった。
「いえ。……それは、樹が決めてくれればいいかなって。
第三者に認められるあたしじゃなくて、樹に認められるあたしでいなくちゃダメだなって思って」
素直にそう言うと、アリサさんが微笑む。
「そういう素直なところ、椎名くんにも見せてあげればいいのに」
「……見せてますよ。たまになら。
……なんかここまで相談しておいて聞くのもアレなんですけど」
「なに? もう、瑞希さんに『失礼』とかいう言葉がないことが分かったから、何でも言っていいけど」
「樹のこと……どうするんですか?」
失礼極まりなくそんな事を聞いたあたしに、アリサさんは呆れたように笑った。