ジュリエットに愛の花束を。
「だって、お兄ちゃんがデリカシーなくあたしの話を里香さんと始めるからじゃん。
聞いていられなくなって、仕方なく外に回避しただけだもん。
好きで門限破ったわけじゃないし。
……自分のことを、自分がいない場所で話されるのって、好きじゃない」
お兄ちゃんは、少しだけ困ったような表情を浮かべてから、珍しく謝る。
「聞こえてたとは思わなかった……悪かったな、瑞希」
そう言われちゃうと、こっちもなんだか調子が狂うんだけど。
「……別にいいけど」
「で、すぐにあの友達のところに行ったのか?」
「うん」
「松永、とか言ったっけ」
「友達っていうか、先輩だけどね。
……えっ?!
松永……っ?!!」
びっくりして聞き返すと、お兄ちゃんは驚いた表情であたしを見る。