ジュリエットに愛の花束を。
今までなんとなく電話しにくいとか思ってたのに。
声を聞いた途端、色んな気持ちが溢れ出してきて、なんでだか泣きたくなった。
愛しさと寂しさ、切なさがごちゃ混ぜになった気持ちが、どっと押し寄せてきて喉が詰まる。
こんなに樹の声が聞きたかったのか、不思議になるくらいに。
『瑞希?』
「あ、うん……」
『よかった。電話出ないから心配してたんだ。
風呂?』
「ううん。ちょっと……野暮用で」
『……野暮用なんて言う女子大生、今時いるんだな』
軽い笑みをこぼす樹の姿が浮かびそうで、また胸が鳴く。
たまらなく会いたい衝動にかられるけど……。
24時近い時間に諦める。
『瑞希……こないだはごめん』
「こないだ?」
『……暴走して襲いかかって』
「あー、あれね。……別にもう全然。
っていうかあたしも悪かったし。……少しは」