ジュリエットに愛の花束を。
すっかり忘れてた。
なんか色々ありすぎてずっと前のことみたいに思えるけど……。
よく考えてみれば、まだ数日前のことか。
『いや、瑞希は悪くないだろ。俺が勝手に暴走したんだし』
「でも、暴走させるほど不安にさせたのはあたしだし。
別にいいよ、もう。本当に気にしてないし。っていうか忘れてたくらいだし」
『……本当に?』
「うん」
頷くと、ケータイ越しに大きなため息が響く。
『よかった……危うく松永の戦略通りになるところだった』
続いた声があまりに弱っていたから、思わず切なくなる。
樹に会いたいって気持ちが強まったのが分かって、それを誤魔化すように笑った。
「珍しいね。樹がそんなに弱気なのって」
『……弱気にもなるだろ。軽い気持ちで付き合ってるわけじゃねぇんだから』
急にドキっとするような事を言い出すから、返す言葉が見つからない。
ドキドキしている心臓を隠せるような言葉を探していると、樹が続けた。