ジュリエットに愛の花束を。
『とにかく、四六時中瑞希がくっついてたせいで、一人だとかなり……』
「あ、そうだ。冷蔵庫に今日までのプリンがあるんだった。
もったいないから、樹食べちゃってよ」
『……一人だとかなり人肌恋しいって言おうとしてた俺に、よくも冷えたプリンが勧められたな』
……分かってたけど。
樹が、あたしが考えてた事をそのまま言うから、なんか通じ合ってるみたいで恥ずかしくなったんだもん。
『あっ、おまえ、このプリン昨日までじゃん』
「一日くらい大丈夫でしょ。それ、学食で売ってるやつなんだけど、ものすごい人気なんだって。
一日限定30個しか作らないらしいよ。樹、四年も通ってるのに知らないの?」
『いや、噂くらいは聞いた事あるけど。
おまえ、面倒くさがり屋なのにどうやって手に入れたんだよ』
「同じ講義とってる人がくれたの。ほら、あたしもう少しで誕生日でしょ? だからだって」
『……そいつ、男?』
「うん。松永っていう人」
嘘をつく必要もないように感じたから言ったんだけど……どうやらまずかったらしい。
樹の機嫌のバロメーターは、会話の間に出るからすぐ分かる。
数秒黙ってるこの状況からすると……ちょっと面白くないんだ、多分。