ジュリエットに愛の花束を。


『そう。そこがここ最近微妙に違和感があって。

今日そんな事を少し話してたら監督に聞かれて、2、3日休めって』

「痛いの? 大丈夫?」

『ああ。そこまでじゃねぇんだけど、念のためな。

寒くなると、昔骨折した場所とか痛み出すのと一緒だろ、きっと。

俺、昔から何度も右足首捻挫してるから、多少くせにもなってるのかもな』

「ふぅん。じゃあ、明日は本当に一緒に帰れるの?」


うっかり、『帰れるの?』なんて聞いちゃった自分に気づいて、慌ててそれを否定しようとする。

でも、樹は。


『ああ。迎えにいくから。……久しぶりに瑞希の作ったビーフシチューが食べたいし』


あたしの女の子発言に気づかずにご機嫌に言う。


「……ビーフシチュー、あたし何日か前に食べたばっかなんだけど。

っていうか、なんでビーフシチュー? お兄ちゃんもだけど、樹も好きだよね。

あたしは普通のホワイトシチューの方が好きなんだけど」

『なんでだろうな。……肉食だから?』



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