ジュリエットに愛の花束を。


「……は?」

『ちょっと考えるところがあって』

「え、っていうか、今就職氷河期だよ? 考えてる場合なの、そこ」

『まぁ、大丈夫だろ。なんとかなる』


あまりに他人事みたいに言うから、それ以上は何も言えなくて。

それに、樹には樹なりの考えがあるんだろうし、よく事情も知らないあたしがここで変な口出ししてもアレだし。

……でも、大丈夫なのかな。

いくらなんでもノンキすぎない?


『とにかく、明日放課後な。ついでに、見られたら松永の顔も見といてやる』


樹の言葉に、松永の顔が思い出されて……でも、事実を言うべきかちょっと迷う。

まだはっきりしたわけでもないし、言ったところで仕方ないし。

けど、言わないでまた不安にさせちゃうのも嫌だし。


まぁ、でも明日会うならそれでいっか。

直接の方が、ちゃんと話せるだろうし。





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