ジュリエットに愛の花束を。
【第八章】
捕らわれる嬉しさ
「ごちそうさま」
帰りに買ってきたコンビニのお弁当を食べ終わって、手を合わせる。
食後にチーズケーキまで買ってきたのに、樹はどこか不機嫌そうだった。
「松永姉弟の事がなければ、ビーフシチューだったのに」
不機嫌の理由に軽く笑ってから、チーズケーキにフォークを入れる。
「いいじゃん。おいしかったし。
ほら、チーズケーキおいしいよ。はい、あーん」
押しつけるようにチーズケーキを差したフォークを差し出すと、樹は不貞腐れたまま口を開けた。
「おいしいでしょ?」
「……まぁな」
モグモグ口を動かす樹が可愛くて笑う。
チーズケーキの1/3を樹にあげて残りを食べきったところで、ふとある事を思い出して、樹の履いていたジーンズを捲り上げた。
突然の行動にびっくりした樹が、顔を歪める。