ジュリエットに愛の花束を。
なんとなく素直になるチャンスを逃して駄々をこねていたあたしを、樹が少し強引に抱き上げる。
俗に言うお姫様だっこをされてしまって……慌てて暴れ出す。
「こ、こういうキザ行為やだっ! キザ樹!! 下ろしてっ!!」
「ダメ。ベッドまで大人しく運ばれろ」
「やだってばっ! あ、大体足痛めてるからって部活休んでるくせに、やらしい事なんかしたら監督に言いつけるからっ」
暴れるあたしに、樹は呆れ顔でため息を落とす。
そして困った顔で微笑んだ。
「彼女抱くのに毎回こんな苦労してる男は俺くらいだろうな」
ベッドにあたしを下ろした樹は、そのままあたしを押し倒す。
ギシっと軋んだベッドに、ベッドから微かに香る樹の匂い。
目の前には、樹の色気の含まれた微笑み。
「瑞希のおかげで、もう、他の女じゃ物足りなくなってんだろうな、きっと。
責任とって一生減らず口叩いて駄々こねろよな」
「……そんなお願いなら、簡単だけど」