ジュリエットに愛の花束を。


「瑞希……、頼む。

椎名先輩を説得して……。俺は、やっぱり、椎名先輩には走り続けて欲しい。

頼むよ……瑞希、」



――ふと、少し前の事を思い出す。


『瑞希を置いて、なんて……やっぱ、考えられねぇし』

いつか、そう言ってた時の事を。

ドラマを見ながらの、何気ない言葉だと思ってたけど……。


でも、何かが引っかかってずっと覚えていた言葉。

もしかしたら、あの時、樹は……。



「松永っ、樹がその誘いを断ったのっていつ頃?」


勢いよく聞き返したあたしに驚いたのか、松永が焦った様子で答える。


「えっと……確か、2ヶ月くらい前だったと思うけど……それが何か関係あるのか?」

「……―――」


重なる時期に、言葉が出なかった。



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