ジュリエットに愛の花束を。


なのに……、

あたしは、悩む樹に気づきもしないで、お兄ちゃんとの生活に満足してた。

いつも通りに……いつも以上に。

樹がいて、お兄ちゃんがいてくれる生活を嬉しく感じてた。


知らないところで、樹の夢の邪魔をしてたのに―――……。



この部屋で、樹が一人で悩んでたと思うと……。

どうしょうもないほどに、胸が締め付けられる。







……―――ねぇ、樹。


あたしは……。






両手をそれぞれ握り締めて、目をぎゅっと瞑った。


樹の笑顔が見えた。





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