ジュリエットに愛の花束を。
【第九章】
現実
好きだから別れを選ぶなんて、ばかげてると思ってた。
お互いに好きなら、それ以外の道を探し出せるハズだって。
別れるなんて、ただの「逃げ」だって、そう思ってた。
それなのに。
まさか、自分がそんな道を選ぶなんて。
本当に呆れる。
呆れて笑おうとしたのに、頭に伴わない身体に気づく。
笑うどころか、一歩踏み出すのも困難な事に気づいて……。
その原因が分かったのは、皐の行動。
「……なに?」
教室で顔を合わせるなり、いきなりあたしの顔をじっと見つめてきた皐に眉を潜める。
泣き痕でも残ってたのかと思って顔を背けようとした時、おでこに手を当てられた。
ひんやりと感じる皐の手をどかそうとするも、驚いた表情を浮かべた皐の大声にそれを止められる。
「なに、この熱っ!!」
「は? ……熱?」
「なんで気づかないの?! 絶対あるって、これ!! ちょっと計ってみなよ」
カバンから当たり前に体温計を取り出した皐を疑問に思いながら、それを受け取る。