ジュリエットに愛の花束を。
「……無理な相談だな。おまえと椎名の同棲を応援するなんて」
「なんでそんなに樹を嫌うの?
……あ、分かった。樹がカッコいい顔してるから嫉妬してるんだ」
「カッコいいか? ……まぁ、そこそこ整ってるとは思うけど、俺とは似てないだろ」
「……なんでカッコいい基準が自分なの? お兄ちゃん、ナルシストだったっけ?」
びっくり発言に眉をしかめると、お兄ちゃんはなぜだかそこで黙る。
……なんで?
本当にナル……?
「……自分が大好きなの?
実はビジュアル系バンドとか組んでて、ライブ映像を繰り返し見てうっとりしてる?
鏡の前に立つと、あまりのカッコよさに動けなくなる? いつの間にか鏡に抱きついてる?
ケータイの待ち受けが自分?」
「……おまえのナルシスト基準はどうなってんだよ。
俺はナルシストじゃない」