ジュリエットに愛の花束を。
「瑞希、ヤラれちゃってもいいの?!
椎名先輩が激怒……」
「いいの」
「は?」
「いいの……もう、……」
樹と恋人には戻れないんだから。
戻っちゃいけないんだから。
ちっともそれを分かろうとしない気持ちを、思い知らせなくちゃならないんだから。
もう、樹の愛車に乗る事はないんだって。
優しく触れられる事も、
熱い指を感じる事も、
樹を、感じる事も―――……。
もう、ないんだって言い聞かせなくちゃ。
言い聞かせなくなくちゃ……っ。
きっと、あたしは樹を追いかけちゃうから。
今だって、走り出したくて仕方ないんだから。
樹の邪魔をする前に、早く―――……。
戻れないっていう理由を作らなくちゃ、あたしはきっと走り出しちゃう。