ジュリエットに愛の花束を。
そっか……。
って事は、あとちょっとで本当にあのサラリーマンは抹殺されるところだったのか。
あまりの状況に、思考回路がうまく接続されていないのか、変な方向に脱線する。
だけど……脱線もしたくなる。
だって、あたしが今いる場所は―――……。
「瑞希、んな緊張すんなって」
隣に座る樹が、あたしを見て笑う。
樹の向こうには、大きな窓が一面に広がっていて、床はといえば深緑の高そうな絨毯が敷かれていた。
部屋の広さは……何畳くらいなんだろ。
なんかこんな広いと何畳とか言ってられなそうだけど。
目分量だと……まぁ、軽く30畳はありそうな感じ。
厚みのあるドアにはシルバープレートがついていて、『会長室』って書かれていた。