ジュリエットに愛の花束を。


「どうだろ。まぁ事実は事実だけど……。

あんまり怒ってたら、嘘だって決め付けられて余計に興奮させるだけかもしれないけどな」

「……普通信じないもんね、そんな話」


あたしだって、樹から「実は俺、『RBP』の社長の息子なんだ」とか言われたって絶対信じないし。

本当にこの目で確認したから信じられたけど、口で言われただけだったら、何を言われても冗談だとしか捉えない。

あまりしつこく言われたら怒り出すと思うし。


それはきっとお兄ちゃんも同じだろうし、樹の言うとおり余計に怒らせるだけかも。


それならおじいちゃんに『瑞希ちゃんを引き止めたのは私です』って一筆書いてもらえばよかった。

今さらだけど、本当に論より証拠だったな。


そんな事を考えながら、帰路を走るタクシーに揺られた。




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