ジュリエットに愛の花束を。
【第十一章】
思う気持ちと、後悔
家の前の通りでタクシーを下りて帰ると、家の中には、予想通り角の生えたお兄ちゃんの姿があった。
お兄ちゃんはあたしと樹を見て、遅れた理由を自分なりに理解……じゃなくて、誤解したようで。
怒りの文字が見えそうなお兄ちゃんの態度に、あたしと樹は自然と並んで正座する。
なんだか異様な光景だと思う。
「瑞希さんを門限に間に合うように返せなくて、申し訳ありませんでした」
樹が深く頭を下げるから、あたしも合わせて下げてみる。
……でも、本当にここまでする必要があるのか疑問に思えてきて、しまいにはイライラしてくる。
遅くなったって言ったって、まだ23時すぎ。
門限を過ぎたのは悪いかもしれないけど、樹にここまでさせる必要はないんじゃない?
今日は理由だってあるし。
……言えないけど、きちんとした理由が。
けど、気迫溢れるお兄ちゃんを前にそんな事は言えず。