ジュリエットに愛の花束を。


「理由があるなら聞くから言ってみろ」

「……言わない。言ったってお兄ちゃんは絶対に信じてくれないもん」

「ほらみろ。約束一つ守れない男なんかと付き合ってたって、おまえが幸せになれるわけないだろ」

「約束一つ守れないっていうなら、今まで樹は何百個っていう約束を守ってきてくれたもん!
 
門限だって今まで守ってきてくれて、それで今日初めて遅れちゃっただけじゃん!

しかも樹のせいじゃないのに!!

あたしの幸せをどうしてお兄ちゃんが決めるわけ?! 大体、樹とはもう2年も付き合ってるけどずっと幸せだったも……」


と、言いかけて、隣の樹の視線が気になって口を閉じる。

お兄ちゃんと2人きりなら思いっきり言ってやれるのに。


樹がいたんじゃ板ばさみで言葉も出ない。


「……樹、もう帰りなよ。あたしがどうにかするから」


いっその事、と思ってのあたしの発言に、樹は静かに首を振る。


「いや……。このまま帰れないだろ。

おまえと別れろって言われて帰ったら、それを承諾したみたいで嫌だし」

「……」


樹があまりに真剣に言うから、あたしも何も言えずに口を閉じる。








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