ジュリエットに愛の花束を。


『おまえっ……俺に振んなよっ! 

ここで頷けば、「ヤってます」って言ってるようなモンだし、否定すれば「きちんと避妊してない」って意味に取られるだろっ!

どう答えるんだよっ』

『……何も言わないで、微笑む、とか?』

『この状態でどうやって笑えるんだよっ。無理だろ、俺、顔の筋肉つりそうなほど緊張してんだから!』

『じゃあ、「こいつ、何言ってんだよ」的な苦笑い?』


そこまで内緒話したところで、お兄ちゃんの怒りが爆発する。


「おまえら……っ、ちょっと黙ってろっ!!

瑞希っ、おまえも俺の前で堂々とそういう話をするな!!」

「だって、お兄ちゃんが気まずい話をしようとするから……っ」

「いいか?! いくらそいつとのそういう相性がよくてハマってたとしてもだ!
きちんと……」


そこまで聞いたところで、完全に頭の中でプチンと何かが切れた。

そして、感情のままに言葉が飛び出た。


「きちんときちんと、って……っ、お兄ちゃんなんか出来ちゃった結婚のくせにっ!! 偉そうに言わないでよ!!」

「……―――」



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