ジュリエットに愛の花束を。


ぎゅっと歯を食いしばるお兄ちゃんに、急に恥ずかしくなって目を逸らす。


「そんなの……っ、気付いてたんなら言ってくれればよかったじゃんっ! あたしは……、お兄ちゃんに気付かれてないと思ってたのに……。

伝えるつもりもなかったのに……なに、それ。恥ずかしいじゃん……」


どんどんボリュームを下げていった声は、最後は消え入りそうだった。


ずっと内緒にしてきた気持ちを、この先だって伝えるつもりなんかなかった気持ちを、本人に気付かれてたなんて……。


そんな恥ずかしい事ってない。

いくらそれが過去の事だったとしても、……恥ずかしさは拭えない。


怒ってうつむいていると、お兄ちゃんは困った表情を向ける。


「言えないだろ。だって確信もなかったし……。

それに、『おまえ、俺が好きだろ?』なんて……そんなうぬぼれ発言ができるわけないだろ」

「……いつ、気付いたの?」


もうとぼける事のできなくなってしまった思いに、仕方なく聞く。

あたしのどんな態度で気付かせてしまったのか、気になって。




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