ジュリエットに愛の花束を。
「っていうか、重いよっ! 付き合ってるだけじゃん! 結婚の挨拶にきたわけでもないのに、2人して何やってんの?
それに……なに、お兄ちゃん! 『約束できるか?』って、なにそれ! 牧師気取り?」
照れくさくなってぺらぺらと話していると、お兄ちゃんと樹はあたしを見て……。
2人して笑う。
「本当に素直じゃないな、瑞希は」
「なにがっ!」
お兄ちゃんの言葉にムキになって言い返す。
すると、樹の指があたしの顔に触れて……目の辺りを指でなぞった。
「……なに?」
「泣いてる。いっくら可愛くない事ばっか言ってても、ずっと泣きそうな顔してた」
「……」
言われて、どんどん溢れてくる涙に気付いた。
樹が愛しそうにあたしを見つめてくるから、余計に涙が止まらなくなって……それを樹が微笑みながら拭いてくれた。
「……関係を許しても、目の前でべたべたされるのは面白いもんじゃないな」
「……すみません」
フン、と鼻をならしたお兄ちゃんに、樹が苦笑いで謝る。
そんな様子に、自然と笑みがこぼれた。