ジュリエットに愛の花束を。


「っていうか、重いよっ! 付き合ってるだけじゃん! 結婚の挨拶にきたわけでもないのに、2人して何やってんの?

それに……なに、お兄ちゃん! 『約束できるか?』って、なにそれ! 牧師気取り?」


照れくさくなってぺらぺらと話していると、お兄ちゃんと樹はあたしを見て……。

2人して笑う。


「本当に素直じゃないな、瑞希は」

「なにがっ!」


お兄ちゃんの言葉にムキになって言い返す。

すると、樹の指があたしの顔に触れて……目の辺りを指でなぞった。


「……なに?」

「泣いてる。いっくら可愛くない事ばっか言ってても、ずっと泣きそうな顔してた」

「……」


言われて、どんどん溢れてくる涙に気付いた。

樹が愛しそうにあたしを見つめてくるから、余計に涙が止まらなくなって……それを樹が微笑みながら拭いてくれた。


「……関係を許しても、目の前でべたべたされるのは面白いもんじゃないな」

「……すみません」


フン、と鼻をならしたお兄ちゃんに、樹が苦笑いで謝る。


そんな様子に、自然と笑みがこぼれた。




< 344 / 355 >

この作品をシェア

pagetop