ジュリエットに愛の花束を。
「……でも、そんなのみんなそうじゃないの?」
「それがそうでもないんだよねー。
いっくら彼氏がいて、その彼氏が嫌がるのが分かってても、瑞希みたいに冷たく接するのって良心が痛むって言うか」
「あたしだって一応痛めてるけどね、良心」
「えっ……そうだったの?!
じゃあ、瑞希は本気の本気で、そんなにも椎名先輩の事が……」
可愛いモノでも見つめるような熱視線を向けてくるから、耐え切れなくなって皐の顔を押さえた。
「それに、気持ちに応えられないのに優しくしたりするのは、かえって残酷じゃん」
「まぁねー……。分かってるんだけどねー」
あたしの手をどかしながら頷く皐に、あたしは眉をしかめる。
「なに? 誰かに好かれて困ってるの?」
「うーん……実はバイト先の後輩クンに好かれてて……。
でもさ、あたしの彼も同じバイト先じゃん? 修羅場は避けたいって言うかー……。
バレなきゃ、ちょっと手つけたい感じの男の子なんだけどさー……うーん」
「……そんな事考えてながら、よくあたしの事、他人どうでもいい主義とか言えたよね。彼氏可哀想じゃん」