ジュリエットに愛の花束を。
待ち伏せ
香水の香りを撒き散らす皐と午前の授業を終えた時、またしても騒がしい足音が聞こえてきて……教室のドアが開く。
昨日のデジャブみたいなその光景に、あたしは咄嗟に机の下に身を隠した。
『いないって言って!』
小声で言うと、皐はあたしの行動に笑った後、OKのサインを出す。
その直後、松永の明るい声が響いた。
「あれ、瑞希は?」
「あれー……おっかしーなー。さっきまでいたんだけど。
なに? またプリンのプレゼント?」
皐の問いかけに、松永が少し間を空けてから答える。
「まぁな」
「っていうかさー、松永って瑞希のどこが好きなの?
椎名先輩っていうイケメン彼氏がいるし、可能性ないと思うけど。こっぴどく振られる前に諦めた方がいいって。
椎名先輩に勝てるとでも思ってるの?」
あたしに他人どうでもいい主義とか言いながら、皐の言葉だって結構深く松永を傷つけてると思う。
皐のきつい言葉にひやひやしながら縮こまってると、松永は意外にも怒り出す。