ジュリエットに愛の花束を。
「もうさー、冷蔵庫、移動式にして?
あたしの後くっついてくるようなタイプじゃなくちゃ、絶対にしまえない」
「そんな冷蔵庫があるならとっくに買ってるよ。この部屋の平和のために。
……違ぇよ。まぁ、チーズケーキが出しっぱなしだったのも、また松永にプリンもらってきやがったのも引っかかってはいるけど。
今言ってんのは、その格好だろ。
……足、隠せ」
樹に言われて自分の格好を見る。
寝転がったまま視線を移すと、ひらひらした軽い生地のスカートが、際どいところまでめくりあがっていて。
直そうとして……思い出した事に、樹を見上げる。
「……あたしって男っぽい?」
「は? なんで?」
ソファの脇に立つ樹に聞くと、樹は眉を小さく潜めて聞き返す。
「んー……今日、言われたの。
男っぽいって。……いい意味らしいけど、そうは聞こえなかった」
「……まさか松永?」
「違うよ。……アリサさん。
たまたま校内で会って、言われたからちょっと気になって」