ジュリエットに愛の花束を。


樹はそんなお兄ちゃんに心配そうに声をかける。


「あの、大丈夫ですか?」


樹の言葉に、お兄ちゃんはガバっと顔をあげて、樹を睨み付けた。


「うるさいっ! 大体、元を辿れば全部おまえのせいだろう!

瑞希は……小さい頃からお兄ちゃん子だったのに。
少し新婚ボケしてる間に、男の部屋に入り浸りになるなんて……」

「……そのまま新婚ボケしてればよかったのに」

「瑞希っ」


二人に止められて仕方なく口を尖らせた。



――なんでこんな事になっているかというと。

事の発端は、三日前にさかのぼる。


樹と同じ大学に入ったあたしは、大学から程近い樹のアパートに泊まる事も増えた。

両親は二人して仕事命みたいな人達だから、あたしにはあまり厳しく言わないし、多分、家にいてもいなくても分からないと思う。

だからそれをいい事に好き放題やってたんだけど……。

いつも通り、樹と二人で夕飯の買い物をして樹の部屋に帰った時、事件は起きた。







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