不器用な愛で、意地悪なその唇で。









今日の放課後は、静かだった。

──何故なら千架くんが、教室にはいないから。


…あれからずっと目も合わせてくれなかった。

話しかけてもくれなければ、

見てもくれなかったと思う。

──仕方ないよね。



…どうせ今日だって
ほかの女の子たちと遊ぶんだろう。

でも遊ぶときはいつも
あたしに言って行くのが千架くんだったから。

…もしかして今日は来ないかもしれないけど待っていよう。……そして、謝りたい。

口下手でもいい─千架くんが大好きなんだってちゃんと千架くんに、言ってあげるの。







ガタリ、と何かが動いた音がした。あたしはその音に重いまぶたをふ、っとあげた。


……あれ、寝ちゃってたんだ…あたし。


起き上がり、窓を見る。…もう暗くて時刻は7時。真冬のこの時期は暗くなるのも当然早くて。


…結局千架くんは来てはくれなかった。そう思いながらも音がした扉の方へと視線を向ける。




「───あ、」

「…まだ、いたのね。」




音は扉の開いた音で、扉を開けたのは──今朝 千架くんと手を繋いで学校に向かった…由佳さん。


なんでココにいるんだろう、そう思った。…千架くんと帰ったんじゃないの?と思うと…少し、妬けた。






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