不器用な愛で、意地悪なその唇で。
「…千架はこないわよ。」
「…しっ、知って…ます」
強気でそういわれてしまうと、なぜか頑なな敬語になってしまう。…立っていたら、へっぴり腰なんだろう。
「じゃ、なんで帰らないのよ。」
「ね、寝てたん、です。」
あぁもう自分にあきれる。なんでこんな怯えているんだろう。……この人だから怯えてるんだとはわかるけど。
「ふぅん?じゃぁいい機会だし、
単刀直入に言うけど…
…千架と別れた方がいいと思うわよ。」
───あぁ、とそう思ってしまった。
察していたから。いつかは、取り巻きの誰かには言われるんだろうなーって。…でも言われた相手がこの由佳さんじゃ、……ちょっと、キツイ。
“はい!?それでも彼女なの?!貴女って──”
朝、由佳さんに言われかけた言葉が、脳内に響き渡る。正論だったから、よけい……痛い。