不器用な愛で、意地悪なその唇で。
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あれから由佳さんは悔しそうに顔をゆがめて舌打ちして教室から出て行った……怖い。
あたしは緊張の意図がやっと途切れ、ひとつため息をつく。そして鞄を持って校舎を後にした。
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暗い夜道を一人で歩く。少し怖くて早足になる歩調。でもあともう少しで明るい商店街にでる。
その商店街にはゲームセンターや本屋、服屋や飲み屋。いろんなお店があってうちの高校のみんなにも人気。
…だけどあたしは行ったことがない。…千架くんは毎日のように、行ってるんだろうなー…。
商店街へつきなるべく明るい道がいいので中を通ることにした。…あんまり同級生や先輩には会いたくないんだけど…
ふと行ったところにゲームセンターが見えた。……するとそこには外に出されている椅子に座り、携帯を眺めている──千架くんの姿。
「──ち……」
なんだか嬉しくなって“千架くん、”…そう声をかけようとしたけど、千架くんに駆け寄ってきた女の子をみてあたしは言葉をつまらせる。
──千架くんが女の子と遊ぶのはいつものこと。
ソレでさえイヤでイヤでたまらなかった心。
だけどその“現場”を見てしまったら、
その場で息をすることさえも──苦しくなった。