不器用な愛で、意地悪なその唇で。





…怖かったんだ。

もう、愛想つかれてそうで。

もうあたしを好きじゃないから

由佳さんの手を取ったんだよね?



そうだよ。だって貴方は、

あたしなんかといるときの笑顔より

女の子たちといたほうが楽しそうだもの。


だから追いかけれなかった。

わがまま言えなかった。

本当の気持ちを、言われちゃいそうで。


結局“別れは自分からは言わない”

そう言ったけど

千架くんから別れが出ないようにしてるのも

…あたし自身じゃない。



これを“矛盾”っていうのかな。



──あぁもう、どうすればいいのかわからない。

涙があふれてとまらない。



ねぇ神様。

あたしは最後の最後まで

恋にもがいてはいけないのですか。




( ただただね、貴方に言われたかった。
 "素"のあたしも"おしゃれ"したあたしも

 「好きだよ」って…ただそれだけを
 ──言って、欲しかっただけなの。 )






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