不器用な愛で、意地悪なその唇で。





春は別に可愛くなくたっていい。

─みんなが知らない春の顔を俺が知ってればいい。

─俺の好きな顔を俺だけに見せてくれればいい。


…俺は春の少し恥らった、

でも赤く微笑む笑顔が好き。





「あ、いた!ほら見ろあ・そ・こぉお!とめられるのは彼氏のお前だけだ!イケ!そして謝れ!」


由希がそう奇声をあげ、夕暮れの玄関を指さす。…そこには困った顔してる春と、笑ってる男子が二人。


「……何してんの?」


俺は結構離れてるけど、目の前の3人を疑視しながらそう口からこぼす。それに由希は反応して。


「何してるって…普通に春を放課後のお出かけにさそってんだろ!まぁ手短に言うならお前と取り巻き女子みたいな感じだな。…無理もねぇ、今の春可愛いし」


ぼそりと悔しそうに、だけども悲しそうに由希がそう言う。…ふーん、そっかぁ……

モヤモヤと、心の中に黒い霧が生まれる。…あぁ何?コレが嫉妬ってやつ?


「…大丈夫だよ。春は断るし。」


俺はそう言って立ち上がり春たちに背を向ける。だけども由希の"あ!"という吃驚(きっきょう)した声に再度振り返った。






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