不器用な愛で、意地悪なその唇で。





「ち、千架くんが、嫉妬……?」

「うん。悔しいけど。そうみたい」


春で初めて知った、この感情。

妬いてもらえるのは嬉しいのに、

妬くのはこんなにも辛い。



「そ、っか…」

「春?」



声が掠れ、そう言った春の表情を見ると、笑っているのに、泣いていて。



「は、春!?!?!」

「っ…ぅえ…」

「何で泣くの!?」

「う、うれ、しくて」



…やっぱりそうだ。

妬かれた相手はこんなにも嬉しくて

妬く相手はこんなにも辛い。

…だけど想い合ってるって証拠で、

どうしても、愛しいんだ。






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