不器用な愛で、意地悪なその唇で。
告白をしてくれたのは千架くんから。
…正直これは夢なんじゃないかと思った。
──だって"あの"千架くんが、"こんな"あたしに?
でもこれは現実で嬉しくて嬉しくて、あたしは千架くんと付き合いだした。
…初めはもちろん一緒に行ってたし、帰ってたし、手をつないだりもしたし、デートだってした。
でも続かなかったのは会話。…千架くんはあたしの目を見ていろんな事を話してくれたり、話しかけてくれたり。
──だけど千架くんの横を歩いてるだけで緊張してしまっているあたしは、目をそらすし返事だって"うん"、とか"そうだね"とかしか言えなくて。
だからこそ、仕方ないと思ったの。
…千架くんが遊びだしたのも、ほかの女の子と頻繁にいるのも、仕方ないって、"あたしのせい"だって。