不器用な愛で、意地悪なその唇で。
「今日寒いねーっ!
あ、千架手ぇつないでいい?」
───え、
そう聞いてあたしは目を見開く。ドクンと心臓が軽くはねた。…女子と千架くんの接触はいつも。
だけど、女子だってあたしと千架くんが恋人同士だってくらい知ってる。
なのに───なんで?
「んー…どうしようかな。」
優しく笑って、そんなことを言う。…彼なりの優しさなんだろうけど、あたしは不安でいっぱいで。
──────ヤダ。やめて。
そう心の中で千架くんに訴える。
だけど…そう声に出していえない自分も、イヤ。
あたしは顔をうつむけて千架くんの返事を待つ。
だけど──…
「んー…ねぇ、いーい?春。」
「っ、え!?!?!??!」
急に千架くんがあたしに話を振ってくる。あたしは思い切り動揺し、驚きでよろよろと二三歩後方へと後ずさる。