不器用な愛で、意地悪なその唇で。
…あたしが、素直じゃないから。
…あたしが、強くないから。
──あたしは千架くんを、困らせてばかりだね。
「…先、行ってるからね。」
…あたしの名前も呼ばずに、“彼女ではない人”と手を繋いで先に行こうとする。
あたしもすぐ後ろをトボトボと歩いていくけれど目の前の手を繋いでいる二人はとてもお似合いで。
あたしはソレに外れた、“他人”にも見えて。
ぼんやりと目の前の二人の背中を見つめてみる。…すると、千架くんと目が合った。
…だけど、すぐ反らされて。
「………っ…、」
嫌われ、ちゃったのかもしれない。
あたしのいい加減な態度のせいで。