この恋だけ、
『勉強なんて、頑張ってないよ。みんなと同じくらいだよ?』


私は、ニッコリ笑った。


いつもの、嘘の笑顔。
笑顔なら自信がある。心からの笑顔より嘘の笑顔の方が。


『あなたは、いい子じゃない。人一倍努力して、学級委員とかもやって。』


世渡り上手なだけだよ。


勘違いしないで。


『学級委員は、みんながやらないからやっただけだよ。ねぇ、いつまで入院するの?』


私の質問に、


お母さんの表情が曇る。


『…しばらく。ほら、色々検査とかしておいたいた方がいいじゃない?この機会に。』


ね?っと付け足して、またぎこちない笑顔。


具体的な日にちを聞いたのに…。もしかして、死ぬまでココにいるの?


『わかった。お母さん帰っていいよ?だってお父さんの夕飯とか、作らなきゃいけないでしょ。』


『そうね。じゃあ着替えはそのバッグに入ってるから。』


指をさされた方を向くと、修学旅行に持っていったバッグがあった。


…どんだけ荷物あるの。


この量だと何ヵ月もココから出られないかな。


『うん、ありがと。』


じゃあね、と言って、お母さんは帰って行った。
< 3 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop