銀の怪盗
次は何処へ“仕事”をしに行こうか。
しばらくこの怪盗が姿を現さなかったのは正体が一人の警官にバレてしまったからなのだが、どういうわけかそれは広まってはいなかった。
自分の容姿が印象的だということくらい、さすがに自覚している。顔を忘れた、ということは万に一つもないだろう。
考え込みながら、不意に一口だけ紅茶に口を付ける。
…罠だということも考えられなくはない。しかし、それにしてはあまりに放置し過ぎである。
あれから2ヶ月。
――そろそろ彼女は事を起こそうかと考え始めていた。