感想ノート帳
次に紹介させて頂くのは

鷺沢 萠 著
(さぎさわ めぐむ)

『過ぐる川、けぶる橋』
(『けぶる』は漢字ですが変換出来ませんでした)

鷺沢萠氏は芥川賞や三島賞の候補に挙がったり、泉鏡花賞を受賞したりとちっともマイナーではありませんが、すでに鬼籍に入られており遺作も出なくなったのでまあいいかな、と思いまして紹介させて頂きました。

この作品はここまでで紹介した作品とはガラリと雰囲気を変えてとても大人向けです。

ざっとR30ぐらいでしょうか。少なくともハタチ頃が懐かしく感じられるぐらいでなくてはこの作品の良さは伝わりにくいと思います。


七十年代の東京。それぞれ単身上京して同じ中華料理屋で働く二人の若者たち。

一人は時代の波にたまたま乗りのし上がって行き、もう一人は沈んでゆく。

そしてその二人の間で揺れる女。

いつしか別々の道を歩み始めたかつての若者たちが再会した時、それぞれの胸の内に浮かんだ感情はどんなものだったのか…


全編通してセピアでブルージーな雰囲気で、本当に女性作家の作品かと思ってしまう程に微妙な男心の屈折を描いた作品です。


ちなみに鷺沢萠氏はエッセイも笑えて最高ですよ。
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