Maybe Red
でも…



俺は、半分程の大きさになった氷を溶かすように、カラカラっとグラスを揺らすと、



そーいうのも、案外悪くねぇ…かな。



かなり薄くなった、残りの焼酎を一気に飲み干した。



「式までまだまだだってのに…クソっ!!さくらのヤツっ!!土日の度にアレしろコレしろって…」



「そっ…そうなん…だ。」



「んなの、当たり前だろ。テメェの式だろーが。」



「そーだよ!!俺の式だよっ!!でも…」



「「でも…?」」



「俺の秋は…もう、とっくに始まってんだよっ!!」



「………。」



「ハッ!!これだから競馬バカは…」



「うっわぁ…さくら、かわいそ。俺ならこんなオトコ、マジ後悔…だな。」



「は?可哀想?後悔?ドコの誰がっ!!俺とさくらは、ちゃぁ~んと“赤い糸”で繋がってんだよっ!!ってか、人のコトけなす前に、お前こそ、さっさとプロポーズ成功させてみせろよっ!!」



「うっ…」



そして、ベシベシとカウンターを叩きながら、ギャーギャーうるせー親友達を横目に、



いつの間にか注ぎ足されていた焼酎のグラスを口元に持って行くと、



結婚…



プロポーズ…



“赤い糸”…か…。



俺の赤い糸とアイツの赤い糸…



ちゃんと繋がってりゃいいけど…



………



……なんて…な。



らしくねぇコトを思いながら、フッと笑みを零した。





fin...

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