バレンタインデーにて

「わ……有り難う、大野。
 嬉しいよ。
 ……でも、」

「知ってるよぉ」


八木君が言いかけたのを、

私は私の声で遮りました。


また、八木君が目を丸くします。



「……え?」

「私、八木君の好きな人、知ってる」


私は言うと、八木君の大きな瞳を

見つめました。


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