オフィスレディの裏の顔
居酒屋を出ると男女1人ずつ帰ってしまい、鶴見さん、吉田さん、高橋さんの男3人とマリコと私でカラオケ店へ移動した。歩いて10分くらいの距離で、途中マリコと話をした。

「美鈴ちゃん、ごめんね引き止めて。」

「私カラオケ好きだし明日は休みだから気にしないで。」

カラオケboxでも、彼らはまたビールをオーダーした。マリコも勧められてビールをオーダーしたが私はスイーツにウーロン茶。断固酔うもんか!という姿勢が可愛くないのはわかるけど、お目当ての人がいるわけでもないし・・・

「じゃあ美鈴ちゃん、1曲目あゆ歌って!」

「え〜私最初ですか〜?」

照れている間に吉田さんがあゆの曲を入れて私にマイクをもたせた。私は歌い始めた。彼ら3人、見た目は地味なのにカラオケではノリがよかった。というかノリが良すぎで体育会系を超えた、ただの暴れ馬。部屋中飛び跳ね、たまに設備が壊れることがある。それが逆に私には新鮮で楽しかった。でもマリコはここでも控え目に、歌わずただ鶴見さんに寄り添って座っていた。

何曲か歌っているうちに酔って疲れたのか吉田さんが寝てしまった。

「あ〜。吉田さん、寝ちゃったよ。どうする?」

鶴見さんが面倒くさそうに言った。

「お開きにします?」

「いや、今帰ろうとしても起きないと思うよ。」

そう言って鶴見さんは吉田さんの頬をバチバチたたいた。

「ほんとだ!痛くないのかな(笑)」

「もう少し寝かせておこう!」

聞けばいつも吉田さんはこんな感じで、最後には寝てしまって誰にも起こすことができず、外まで連れ出されて道端に寝かせられたまま置いてかれるそうだ。
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