オフィスレディの裏の顔
カラオケ時間を延長してしばらく歌っていると、突然吉田さんがむくっと起きた。

「吉田さん？起きた？」

声をかけても目はあいてるのに無反応だ。
「鶴見さん、吉田さんがまた寝ないうちに帰りませんか？」

「そうだね。よし！じゃあ会計してくるからみんなは吉田さんを連れて先に下降りて。」

「はーい。私吉田さんのバッグ持ってきますね〜。」

高橋さんが吉田さんと肩を組んで、マリコが彼らの手を引いて私たちは先に外に出た。鶴見さんが会計を終えて出てくると、みんなでタクシー乗り場まで移動した。外の空気にあたったからか、吉田さんはとりあえず１人で歩けていた。

「水沢さん、僕送っていきますよ。同じ方向ですから。」

吉田さんに話かけられた。

「大丈夫です。私近くだし１人でタクシーで帰ります。」

「同じ方向だから遠慮しないで。」

するとマリコが、

「水沢ちゃん、送ってもらいなよ〜。タクシー代浮くし。」

「でも、吉田さんはここから高速のったほうが早いし。逆に遠回りだよ。」

「いいじゃない。吉田さんが送りたいんだよ。」

「そお？」

タクシーを拾って先に吉田さんが乗り、私はみんなに背中を押され、押し込まれて乗った。
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