オフィスレディの裏の顔
 驚いたことに、4人での温泉旅行前に鶴見さんは奥さんと離婚をした。マリコのことがある前から夫婦関係はぎくしゃくしていたかもしれないけど、結果的にはマリコが原因で別れたのと同じだと思う。

 旅行は日光鬼怒川方面へ出かけることにして、その計画は意外にも長く付き合っている私たちではなく、マリコたちカップルがたててくれた。マリコたちは当日私の家まで迎えにきてくれて、そこで私の彼のマナブとご対面。1人だけ初対面だから私がかまってあげないといけないことはわかっていたけど・・・私は冷めていた。運転席と助手席でイチャイチャしてるマリコたちを見て、マナブもその気になっちゃうからやめてほしいとさえ思っていた。車は日光東照宮へ向かい、そのあと川下りをして温泉へ向かった。あたりまえだけど・・・カップルで部屋を2分することに気づいた私はすごくテンションが下がっていた。部屋に入って夕飯まで少し休むことにしたけれど・・・マリコから鶴見さんとの夜の生活を生々しく聞いていたからなおさら、2人が隣りの部屋にいると思うと吐き気がしてきた。

 私が不倫に納得できない理由の1つに、私の父親が過去に不倫をしていて何度も家庭崩壊しかけ子供時代を苦しんだことにあった。マリコの不倫を見て聞いて協力までしてる自分に嫌気がさし、マナブと部屋で2人きりになったとき、溜め込んで我慢していたこの思いが爆発した。けれどマナブは私の心の叫びなど聞いてもくれず、2人きりになったことをいいことにイチャついてきた。私たちはこの気持ちのすれ違いからケンカになってしまった。

 結局私はマリコと行動をともにするしかなく、夕飯前に温泉に入った。そのあとマリコたちの部屋で4人で夕飯にした。私たちがケンカ気味であることはたぶんマリコたちは気づいていた。それでもおかまいなしに2人は私たちの前で幸せそうにイチャついていた。その夜、当然私たちは背を向けて寝た。マリコたちの隣りの部屋で愛しあうことは何となく同じレベルで汚れてる気がしたから・・・
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